【解説シリーズ】栄養素:カルシウムについて

骨と言えばカルシウム!

という感じで、カルシウムという栄養素はご存知の方も多いかと思います。

ただ、カルシウムが具体的にどのような役割を果たしているのか、不足すると何か健康に悪いのか、などについて詳しく知らないかと思います。

ということで今回は、カルシウムの役割、健康への影響、カルシウムが豊富な食材など、カルシウムについて解説していきたいとおもいます。

カルシウムの概要

カルシウムとは、私たち人間が生きていくために欠かせないミネラル栄養素の1種です。

人の体内に最も多く含まれているミネラルで、成人では約1kg含まれているとされます。

体内のほとんどのカルシウムがリン酸カルシウムとして骨や歯のエナメル質に含まれ、ごく一部がカルシウムイオンとして血液や筋肉、神経内に存在しています。

どのように吸収されるか

カルシウムは主に小腸上部で吸収されますが、吸収率は成人で25~30%と比較的低くなっています。1

カルシウムの吸収はさまざまな要因(年齢や妊娠、授乳、他の食品成分など)に影響を受け、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するとされています。

1日の推奨量と摂取上限

カルシウムの1日の推奨摂取量は、成人男性だと1日700800mgほど、成人女性だと600650mgです。2

また、推定平均必要量は、成人男性で600650mg、成人女性で500550mgとなっています。

推奨量とは「ほとんどの人が必要量を満たす量」で、推定平均必要量とは「半数の人が必要量を満たす量」のこと。

カルシウムの摂取上限については、成人男女とも2500mgとされています。

通常の日本人の食事でこの量を超えることはほぼないと思いますが、サプリメントなどを使用する際は注意しておいた方が良いようです。

というのも、カルシウムサプリの使用によって心疾患リスクが上昇することが報告されているためです。1

カルシウムの働き

カルシウムの主な働きは以下の通りです。

カルシウムの主な働き

  • 骨や歯の形成
  • 細胞の分裂・分化
  • 筋肉収縮
  • 神経興奮の抑制
  • 血液凝固作用の促進

このようにカルシウムは体の活動や維持に密接に関わっています。

骨の形成以外にもいろんな役割を果たしているのを知らなかった人も多いのではないでしょうか?

特に、カルシウムは骨や歯の主要な構成成分となるため、骨や歯の形成には欠かせない存在であり、不足すると骨粗鬆症にもつながります。

カルシウムの懸念点

カルシウムの懸念点としては、過剰摂取によって高カルシウム血症を招き以下のような症状が生じることがあります。

過剰摂取による弊害

  • 便秘
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 腹痛
  • 食欲不振

また、重度の高カルシウム血症になると、錯乱や幻覚などを伴う脳の機能障害や筋力低下、不整脈から死に至ることもあるようです。

特段大量に牛乳を飲んだり、カルシウムのサプリで日々大量に摂取していない限りはほとんど問題ないかと思いますが、摂取上限である2500mgは意識しておいた方が良さそうですね。

カルシウムが不足すると?

カルシウムが長期に渡り不足することによって以下のことが引き起こされることがあります。5

カルシウム不足の弊害

  • 骨密度の低下、骨粗鬆症
  • 筋肉の痙攣
  • 虫歯や歯茎の炎症などの歯科疾患
  • 低カルシウム血症
  • 月経前症候群の悪化

上記の中でも特に骨密度の低下など骨の健康に関する部分には注意が必要です。

というのも、男性では50歳代から、女性では閉経後に、吸収量(骨からカルシウムが溶け出す量)が形成量(骨へのカルシウム沈着量)を上回るため自然と骨量が減少していきます。

なので、もともと骨量や骨密度が低下しがちな上に、摂取量自体も不足するようになると悪化に拍車をかけることになるので、特にお年を召した方は注意しておきたい点であります。

日本人はカルシウム不足?

結論、日本人はカルシウムが不足していると言えそうです。

令和元年国民健康・栄養調査報告6によると、

  • 男性(2039歳)の平均摂取量は**395462mg/日**
  • 男性(40歳以上)の平均摂取量は442~585mg/日
  • 女性(2039歳)の平均摂取量は**406408mg/日**
  • 女性(40歳以上)の平均摂取量は441~574mg/日

となっていました。

これを先ほどの推奨摂取量である男性700800mg、女性600650mgと比較してみると、かなり不足気味であることがわかります。

歳をとるほどカルシウムの摂取量が多くなる傾向にはありますが、それでもまだ不足しがちであり、特に高齢者は骨粗鬆症を招きやすい状況にあると言えます。

以下でカルシウムを豊富に含む食材を紹介していくので、カルシウムをさらに補うために、ぜひ毎日の食卓に取り入れてみてください。

カルシウムが豊富な食材

カルシウムは、乳類、魚介類、藻類、豆類、種実類、野菜類に多く含まれます。

それぞれの分類で比較的日常的に摂取しやすい高カルシウムな食材をまとめてみました。

カルシウムが豊富な乳類

食品名 カルシウム量(mg/100g)
ナチュラルチーズ パルメザン 1,300
ナチュラルチーズ チェダー 740
プロセスチーズ 630
ナチュラルチーズ カマンベール 460
ヨーグルト 全脂無糖 120
普通牛乳 110

食品成分データベースより

カルシウムが豊富な魚介類

食品名 カルシウム量(mg/100g)
干しエビ 7,100
かたくちいわし 煮干し 2,200
さくらえび ゆで 690
いかなご つくだ煮 470
からふとししゃも 焼き 380

食品成分データベースより

カルシウムが豊富な藻類

食品名 カルシウム量(mg/100g)
ほしひじき 鉄釜/ステンレス釜 乾 1,000
刻み昆布 940
カットわかめ 乾 870
乾燥わかめ 素干し 830
あおのり 素干し 750

食品成分データベースより

カルシウムが豊富な豆類

食品名 カルシウム量(mg/100g)
えんどう 塩豆 1,300
おから 乾燥 310
がんもどき 270
きな粉 黄大豆 全粒大豆 190
木綿豆腐 93
糸引き納豆 91

食品成分データベースより

カルシウムが豊富な種実類

食品名 カルシウム量(mg/100g)
ごま 乾/いり 1,200
ごま ねり 590
チアシード 乾 570
アーモンド いり 260
らっかせい バターピーナッツ 50
かぼちゃ いり 44

食品成分データベースより

カルシウムが豊富な野菜類

食品名 カルシウム量(mg/100g)
切り干しだいこん 乾 500
パセリ 葉 生 290
ケール 葉 生 220
みずな 葉 生 210
こまつな  葉 生 170
からしな 葉 生 140

食品成分データベースより

効果的にカルシウムを吸収するには?

上記でカルシウムが豊富な食材を挙げてみましたが、これらを単体で食べていれば良いのかというとそうではありません。

というのも、カルシウムを十分に摂取した場合でも以下のようなことによって吸収効率が落ちてしまう可能性があるためです。

吸収効率が落ちる原因

  • ビタミンD不足によるカルシウムの吸収悪化
  • 運動不足による骨への負担がないことによる利用率低下
  • カルシウムの吸収を阻害するシュウ酸(ほうれん草に多い)、フィチン酸(豆、穀類に多い)による阻害

実際、日本人はビタミンD不足であることも知られているので、カルシウム不足と合わせて2重に不足してしまっています…

したがって、カルシウムが豊富な食材だけを摂取するのではなく、

  • 日光を浴びたり、食事やサプリなどからビタミンD不足の対応をする
  • 適度な運動を心がけて骨に刺激を与える
  • ほうれん草のアク抜きをするなどしてシュウ酸を減らす

などの対策をしていくとより効果的にカルシウムの摂取につながるかと思います。

日本人が不足しているカルシウムをしっかり摂ろう:まとめ

まとめ

  • カルシウムは人体に最も多く含まれるミネラルで骨の形成など様々な活動に密接に関わっている
  • 不足すると、骨密度の低下、骨粗鬆症などを招く危険性がある
  • 日本人はカルシウム不足な傾向があるため、意識して摂取する必要がある
  • 特に高齢者は生理学的な観点から骨密度が低下しやすいため、より積極的に摂取する
  • ビタミンDや運動などカルシウム摂取を効果的に行うようにする

今回は、私たちの体に欠かせないミネラルの1つ、カルシウムについて解説しました。

カルシウムは骨の形成や筋肉の収縮など様々な部分に密接に関わっている大切な栄養素です。

日本人はカルシウム不足な傾向にあるので、慢性的に不足しないよう、今回紹介したカルシウムが豊富な食材をぜひ日々の食卓に取り入れてみてください。

参考文献

1 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

2 e-ヘルスネット

3 農林水産省HP

4 健康長寿ネット

5 MedicalNewsToday

6 令和元年国民健康・栄養調査報告